学校帰りに好きな人と手を繋ぐのとかって、正直憧れてた。
(こんなこと言ったら女の子みたいだって言われるかもしれないけど)
好きな人ができたら帰り道で一緒に笑いながら話したいとか、ずーっと手を繋ぎたいとか、そんなことばっかり思ってた。
本当に、憧れてたんだと思う。
だから、獄寺に告白されたとき。オレも好きだったからすっごく嬉しかったのと同時に手とか繋いで帰ってくれるんだ!という期待ができたのだ。
…なのに、それなのに。
告白されてから約2週間。手も繋いでくれないどころか、一緒に帰っても全然笑ってくれないのだ。
「…獄寺ぁ」
「あ?んだよ」
今日も二人っきりで帰ってるのに、獄寺は全然笑わない。
確かによく笑う方じゃないけど、本当に「好き」ならちゃんと笑いかけて欲しいのに!
「獄寺さぁ、ホントにオレのこと好き?」
「……なんだよいきなり」
オレがむすっとした顔でそう聞くと、獄寺の方は呆れたような顔でそう言う。
「だって獄寺オレの前で全然笑ってくれねぇじゃん!」
オレが必死にそう言っても、獄寺は全く聞く耳を持ってくれなくて。
「はぁ?別にお前の前でだけ笑わない訳じゃねぇだろーが」
「でもツナの前ではいっつも笑ってるじゃん」
「…そりゃあ…10代目は特別だからな」
「!……」
さらりとそう言う獄寺の言葉に、山本は少しだけ心が痛むのを感じた。
『特別』…。
確かに、獄寺にとってツナがすごい存在だというのはよく分かってる。
別にオレも付き合ってるからといってそれが嫌だとは思わない。 …いや、思わなかった。
なのに、今はちょっと嫌だなんて思ってる。獄寺に特別だと言ってもらえるのはツナだけなのかと思うと、正直ずるいと思った。
「……………」
思わず黙り込んでしまう。だけど獄寺もその沈黙を破ろうとはしなくて。
「…………………」
そのまま黙って歩き、人通りの多い商店街を抜けたところで、山本自身がようやく重い沈黙を破った。
「…オレは?」
「は?」
何の前触れも無しにそう言った山本に、獄寺は首を傾げそう聞き返す。
「…オレは、獄寺にとって全然特別とかじゃねぇの?」
山本が小さくそう問いかけると、一瞬だけ黙り込んだ獄寺はふっと視線を逸らしてしまった。
それに小さくショックを受けていると、獄寺はすぐに視線をこちらへ戻してくる。
どうやら視線を逸らしたわけではなく、単に辺りを見回しただけらしい。
そのことに少しだけほっとして、山本が獄寺を見つめようとすると突然ふわりと唇が重なった。
「!」
突然のことに驚いていると、すぐに唇を離した獄寺はほんの少しだけ頬を染めて。
「…アホ……特別じゃねぇ奴に『好き』だなんて言うと思ってんのか?」
「え…」
「…10代目の特別とお前の特別は違うんだよ」
恥ずかしそうに、けれどもしっかりと聞こえたその言葉に、山本の表情はぱぁっと明るくなった。
「つまり、オレも獄寺の特別ってこと?」
「…………」
ばっと思いっきり顔を逸らしながらも小さく頷いてくれる獄寺に、山本は嬉しくなってにっこりと笑った。
「じゃあさ、獄寺オレの言うこときいてくれる?」
「………………言ってみろ」
笑顔でそう言う山本に、獄寺は頬を赤く染めたままぶっきらぼうにそう言い返す。
「オレ、獄寺と手繋ぎたい!」
「は?手…?」
「そう!一緒に手繋いで帰りたいのな!」
山本が満面の笑みで手を差し出すと、獄寺も呆れたようにだけれど小さく笑ってくれたような気がした。
「んなことかよ…ガキくせぇな……」
心底呆れたようなその言葉とは裏腹に、ふっと小さく手のひらが重なって。
「………………人がいねぇ所でだけな」
そう言ってくれた言葉が、繋いだ手の温かさが嬉しくて。
山本はこくこくと何度も頷いた。
そう、オレが憧れてたのはきっとこんな帰り道。
あとがき
山本受け布教委員会様のお題9.帰り道で書かせて頂きました。
お題にきちんと沿っているか…不安です… orz
山本受けをもっともっと布教できるようにこれからも頑張りたいと思います!
そして皆様の布教活動を応援いたしますww
どうもありがとうございました!!
08・3/31
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